イオン飲料のリスク
口腔衛生(お口をケアし健康を守ること)に関する意識の高まりもあり、平成17年度に実施された厚生労働省の「歯科疾患実態調査」によると、小児のむし歯は昭和62年以降、確実に減少しています。
ところが、むし歯になりにくいはずの下の前歯が、むし歯になっている子供が増えています。
この原因の一つとして、イオン飲料(スポーツドリンク)の飲み方が関係していると、考えられています。
イオン飲料の成分
イオン飲料にはカリウムやナトリウムなど各種の電解質が含まれており、激しい運動、下痢やおう吐などにより、軽度の脱水が心配される時には回復効果が期待できます。
しかし、イオン飲料は糖分の濃度が高く、習慣化しやすい傾向にあり、pHは3.6~4.6という酸性度の高い飲みものです。
子供の歯はpH5.7で、大人の歯でもpH5.5で歯のエナメル質が溶け始める為、イオン飲料水を絶えず飲んでいると、むし歯のリスクが高まります。
コマーシャルによる健康的なイメージが強いイオン飲料ですが、飲み方(飲ませ方)には注意が必要です。
イオン飲料は、特性を良く知り、上手に利用するようにしましょう。
イオン飲料水の上手な選び方、飲み方・飲ませ方
- イオン飲料水を水代わりに飲まない。
- 軽く汗をかく程度の運動なら、水やお茶で水分を補給する。
- 嘔吐や下痢による脱水の改善後は、水やお茶で水分補給する。
- 乳児であっても、寝る前や寝ながらイオン飲料水を与えない。
- 夜中に喉が乾いたら、水やお茶で水分補給する。
☆小児科と小児歯科の保険検討委員会は、平成16年1月16日「イオン飲料とむし歯に関する考え方」と題する見解を公表しています。
☆唾液にはむし歯を予防する働きがあります。下の前歯は、近くに唾液腺があり、絶えず唾液にさらされているのでむし歯になりにくいところです。